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NHKスペシャル|終わりなき人体汚染 ~チェルノブイリ原発事故から10年~ 2006年4月16日(日)放送分






NHKスペシャル|終わりなき人体汚染
~チェルノブイリ原発事故から10年~


2006年4月16日(日)放送分です。




またもや動画の方は削除されてしまうだろうとの思いのもと,
文字起こしをして下さった方のブログがありましたので
転載させて頂きます。


  下記の青い太文字をクリックすると動画を見る事が出来ます。



   ・ チェルノブイリ 人体汚染 1

第1回目は,ウクライナの首都キエフに住む
チェルノブイリ事故の対処をした作業員(リクビダートル)の現在。
リクビダートルに癌が急増。
国はリクビダートルに手厚い社会保障を行っている。


   ・ チェルノブイリ 人体汚染 2

第2回目は,チェルノブイリ事故作業員(リクビダートル)に襲う不幸。
家族が受けた被爆による健康被害。
ソビエトの崩壊後の経済的な補償の喪失。
さらにIAEAは、チェルノブイリ事故後の
リクビダートルの死亡者数を50人しか認めなかった。



   ・ チェルノブイリ 人体汚染 3

第3回目は,チェルノブイリから400キロ離れたベラルーシの被ばく状況。



   ・ チェルノブイリ 人体汚染 4

ベラルーシのブレスト州,400キロ離れたこの地で,
体調の異変を訴える人が急増。
セシウムは遠く離れたベラルーシに飛散した。
初期は放射性ヨウ素131で子どもが甲状腺癌が100倍に増加。
その後10年以上たって,
放射性セシウムの低線量の被ばくにより
大人の癌が増加した。



   ・ チェルノブイリ 人体汚染 5

第5回目(最終回)。
子どもの先天的な病気が,
親の生殖細胞の突然変異によっておきた割合についての
調査結果が伝えられています。




     

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 転載開始 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

     
     
旧ソビエト、ベラルーシに広がる森林地帯。
行く手に立ち入り禁止区域があらわれました。     
     
「立ち入り禁止です。入るのは許可証が必要です」

20年前、チェルノブイリ原子力発電所から撒き散らされた
放射性物質が、今も大地を汚染し続けています。

1986年4月26日未明。
旧ソビエト、ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉が爆発しました。
屋根が吹き飛ばされ大量の放射能が漏れ出しました。

放射性物質の除去や原発をコンクリートで覆う作業などに、
60万の人が動員されました。

十分な防護策も施されず、強い放射線をお浴びながら働いた人々。

ロシア語でリクビダートル、後始末をする人と呼ばれました。


それから20年、旧ソビエトの各地で暮らすリクビダートルに今、
癌が多発しています。


放射性物質が飛び散った汚染地帯は
原発から600キロにまで及び、500万人が被ばくしました。

放射性物質は除去されておらず、今も放射線を出し続けています。


長期にわたって被ばくした人からは、
染色体の異常が相次いで見つかっています。

先天的な病気を持って生まれてくる子どもも増えているため、
被曝による影響が専門家によって調べられています。





チェルノブイリの惨事から20年。
汚染された大地で今何が起きているのか追いました。


「汚された大地でからチェルノブイリ20年後の真実〜」

チェルノブイリ原発から南に120キロ。ウクライナの首都キエフ。

ここに旧ソビエト政府がリクビダートルと
その家族4万人に提供したアパートがあります。

アパートの前に人だかりが出来ていました。

リクビダートルの男性の葬儀でした。

44歳。心臓病でなくなりました。

このアパートではここ数年、病気で亡くなる人が急増。

移住してきた4万人は2万人にまで減っています。



「人が次々死んでいきます。」

「私の父もリクビダートルでしたが、45歳でなくなりました。
みんな50歳までもたないんです」

最近リクビダートルに、特に多発しているのが癌です。



リディア・ツァリョバさん。64歳。
5年前、腸に癌が見つかり手術を受けましたが、
未だに食事がほとんど取れません。

ツァリョバさんはチェルノブイリでトラックの運転手をしていました。
事故後も、4年間原発の中で放射能を測定する仕事に携わりました。
しかし自分がどれだけ被ばくしたかは知らされませんでした。


「当時はどれくらい危険なのかよくわかりませんでした。
体に異常も感じませんでしたし、
あとになってこんなにひどいことになるなんて思いもしませんでした」




ビクトル・ガイダクさん。

一昨年、胃に癌が見つかりました。

胃を全て切除し、1日の大半をベッドで過ごしています。

事故の時、隣接する原子炉で建設作業に携わっていたガイダクさん。

その後も原発内で、仲間のリクビダートルが受けた
放射線量をチェックする仕事を、9年間続けました。

ガイダクさんは自分の浴びた放射線量を
記録した書類を持っていました。
事故が起きたときの線量は、50レントゲン。
その後、線量は減りましたが、9年間放射線を浴び続けました。


放射線の人体への影響は、
広島長崎の原爆被ばく者、
12万人の追跡調査によって明らかにされてきました。


事故の年にガイダクさんが浴びた50レントゲンは、
広島では爆心から1.5キロメートルでの被ばくに相当します。

広島では10数年から20年を経て、癌になる人が増えました。

事故から18年を経て発症したガイダクさんの癌、
広島の被ばく者と符合します。

酒も飲まずタバコも吸わず、健康に暮らしてきたガイダクさん。

突然の発病でした。


「私は自分の健康をさし出してしまったんです。
健康より大切なモノなんてないのに。
取り返しの付かないことをしてしまいました。」


ガイダクさんが大切にしているものがあります。
国家の危機を救った英雄として授与された勲章です。


事故のあと、ソビエト政府の表彰式に参列する
リクビダートルの映像です。

「チェルノブイリ原発において事故処理にあたった諸君」
「勇気を讃え表彰します」



リクビダートルには、危険な労働の代償として、
住まい、高額な年金、無料の手厚い医療などが生涯保証されました。



   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


しかし、事故から5年後、ソビエト連邦が崩壊。

60万人のリクビダートルは、分離独立したウクライナ、
ロシア、ベラルーシなどに別れて暮らすことになりました。

保証されていた特権は、
それぞれの政府に引き継がれました。
しかし、経済の低迷が続く中年金は大幅に目減りし、
医療費も事実上事故負担を求められています。



「ビクトルガイダクさん」

「私はリクビダートルとして国のために一生懸命働いてきました。
国が起こした事故のために。」

「それなのにどうして私たちを見捨てるのでしょうか」



事故当日、ガイダクさんが住んでいた街を撮影した映像です。
白く光るのは放射線によってフィルムが感光した後です。

原発から4キロ  写真



ガイダクさんの家族や住民は、
重大な事故が起きたことを知らされず、
避難命令が出るまでの1日半、大量の放射線を浴び続けました。

今、リクビダートルだけでなく、その家族にも癌が広がっています。

ガイダクさんの妻リディアさんは、
ガイダクさんが胃がんに倒れた直後、子宮がんを発病しました。

しかしまだ、手術を受けられずにいます。

ガイダクさんの手術で貯金を使い果たし入院できないのです。


「なぜ、これほど救いのない状況に
追い込まれなければならないのでしょうか。
ひどい話です。」

「私は、人生を共にした伴侶を救うことすら出来ない……
男になってしまったんです。」



広島で癌が本格的に増えたのは、
被曝から20年経った後のことです。

リクビダートルとその家族の癌は、
今後更に増える可能性があります。



「チェルノブイリ事故 被災者の健康状態」

ウクライナに住むリクビダートル20万人の健康状態を、
国の研究機関が追跡調査した結果です。

癌による死者の調査は、
資金不足によって打ち切られる2000年まで
9年間毎年行われました。


リクビダートルの癌による死亡率は、事故後年々上昇し、
2000年には一般の人の3倍に達していたことがわかりました。



この調査を行ったウクライナ放射線医科学研究所の所長、
ボロディミール・ベベシュコ博士です。

リクビダートルの癌による死亡率は、更に上昇していると考えています。



「ウクライナ放射線医科学研究所 ボロディミール ベベシュコ博士」

「放射線が他の要因と合わさることで
健康に悪影響を与えていることは紛れもない事実です。」

「人々を悪性腫瘍、
つまり癌から守ることを最優先に考えなくてはなりません。
そうしなければ多くの人が亡くなってしまいます。」



しかし去年、チェルノブイリの事故と、
健康被害との因果関係を限定的に診る報告書が発表されました。
オーストリア・ウイーンに本部を置くIAEA、国際原子力機関。


IAEAは世界各国から100人を越える科学者を招集し、
チェルノブイリ事故の被害を
客観的に評価するためとして会議を開きました。

この席で、エルバラダイ事務局長はこう発言しました。



「エルバラダイ事務局長」

「死亡者が何万人にも登るという誤った情報が
事態を更に悪化させた。
原子力産業への根深い不審をもたらした。」



欧米では事故後、大規模の原発反対運動が起こり、
原発の新規の建設が次々と中止に追い込まれました。

原子力の平和利用を推進するIAEAにとって
憂慮する事態が続いていたのです。


去年9月マスコミや一般向けに発表された一般の報告書は、
被害の規模や因果関係の人体について厳しい姿勢を打ち出しました。



「事故の死亡者が何万人何10万人にも登るという主張があるが、」
「これは誇張である。」
「多くは放射線の影響というより、貧困や医療の不備によるもので、」
「酒の飲み過ぎタバコの吸い過ぎのほうが問題である。」

そしてリクビダートルの死者については、
被曝が原因で死亡した可能性があるのは50人と記しています。



この報告書に対して各国の研究者から反論が相次ぎました。

リクビダートルの健康被害を調査したベベシュコ博士も
ウクライナの代表としてIAEAの会議に参加しました。

しかし、提出した資料は信頼性に疑問があるとして採用されなかったといいます。


「彼等のやり方には不満を感じています。
チェルノブイリによる健康被害が寡少評価されています。」

「私たちの考えを、改めてIAEAのに送るつもりです。
その上で訂正してもらいたいと思っています。」



チェルノブイリ事故ではおよそ40種類の放射性物質が
大量に大気中に放出され、風によって広い範囲を汚染しました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


大地に撒かれた放射性物質は様々な形で人体に取り込まれ、
20年後の今、新たな健康被害を引き起こしていると考えられています。

ベラルーシのブレスト州です。

チェルノブイリ原発から400キロ離れたこの地で、
体調の異変を訴える人が急増しています。



「武市宣雄 医師」

広島の甲状腺の専門医、武市宣雄さんです。
事故後、繰り返し現地を訪れ診察を行って来ました。
今回が10回目の訪問です。

武市さんは数年前から、
中年女性の甲状腺癌が目立って増えてきた
と実感しています。


「これはまちがいないっすね。ガンすよ」


甲状腺組織の顕微鏡画像です。

青く突き出ているのが腫瘍です。


「癌がですね、1,2,3,4…」

3日間で診察した52人のうち、
武市さんは、7人を甲状腺癌と診断しました。


「7人おられました。7人。これは多いですね。」



武市さんが現地で診療を始めたのは、事故の5年後。
子どもに甲状腺癌が増えていると聞いたからです。



診察してみると広島長崎では、ほとんど見られなかった
小児甲状腺癌が次々と見つかりました。


事故から10年後には、
小児甲状腺癌は事故前のおよそ100倍に急増。

IAEAも、被ばくが原因だと認めました。

事故から20年、小児甲状腺癌は殆ど見られなくなりました。


かわって大人の甲状腺癌が急増しているのです。



子どもに甲状腺癌を引き起こしたのは
原発から放出された放射性ヨウ素です。

原発の北にあるベラルーシは風向きの影響で
国土のほぼ全域が汚染されました。


ヨウ素は数カ月にわたって放射線を発し、
200万人が被ばくしました。


更に大地に撒き散らされた放射性ヨウ素は、
農作物や牛乳などを通して、人の体に取り込まれました。

体内から被爆することから内部被ばくと呼ばれます。


子どもの甲状腺は成長に必要なホルモンを出すため
大量のヨウ素を吸収しようとします。

甲状腺に蓄積された放射性ヨウ素が、
がんを引き起こしたと考えられています。


武市さんは吸収した放射性ヨウ素が少なかった大人も、
被ばくから20年経った今になって、
次々と癌を発症している可能性があると考えています。



事故のあと毎日畑に出た上、
畑でとれた農作物を食べていたというスベトラーナ・ワデイコさん。

この日の診察で甲状腺癌と診断されました。



「私には事故の影響はないと思っていました。
その後も健康でしたから。」

「でも、そんなことはなかったのですね。
私も犠牲者になってしまいました。」



IAEAの報告書は、
被爆による大人の甲状腺癌の増加を認めていません。

増加は検査技術の向上によって発見が増えているからだとしています。



現地に15年通い続けている武市さんは、
起きている事実を直視すべきだと考えています。



「大丈夫ですよという報告出るのは、
ある意味じゃそんなに人ひどいもんじゃないという
安心感を与えるつもりかもしれません。

しかし実際に起こっていることが本当に、
がんの人が、ひ、被ばく者、
汚染の軽い人たちに比べて多いんだったら、
それ足していただかないと。」


「早く見つけて早く治療してあげれば、
その子供たちは長生きでいるんですよ。
ということも言わないといけませんよね。」



チェルノブイリ原発から放出された
40種類の放射性物質の中には、
今も放射線を出し続けている物質があります。

汚染が続く地域では、低い線量でも、長期に渡る被ばくが、
新たな健康被害を引き起こしている可能性が指摘されています。



「ベラルーシ・ゴメリ」チェルノブイリから130キロ、
ベラルーシ南部のゴメリ州に被ばく者の専門病院があります。


「放射線医学人間環境研究センター」

ここで最近白血病の患者が増えています。
2年前、白血病患者のベッドを事故前の2倍、
70に増やしましたが空きのない状態が続いています。



レオニード・ブラフコさん、36歳。

去年5月、急性白血病と診断されました。
副作用の強い抗癌剤治療を続けています。



事故の時16歳だったブラフコさんは、
重大な事故だという情報がなく、
毎日屋外でサッカーをしていました。


事故後も同じ町に住み続け、結婚して子どもをもうけました。
去年突然、体にアザのようなものがいくつもあらわれ、
高熱に襲われました。


「去年までは普通に生活していました。
放射線のことは気にしたことはありませんでした。
なのにある日、突然病気に襲われ、悪くなる一方です。」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


大地を汚染し続けるのは、
チェルノブイリ原発から放出された、
放射性物質の1つ、セシウムです。

300年にわたって放射線を出し続けます。

濃い紫色のところは大量のセシウムで汚染され、
立ち入りが禁止されています。

しかし、それ以外のほとんどの地域では、
人の居住は制限されていません。

ブラフコさんが住んでいたのもこうした地域でした。


ゴメリ州カリンコビッチ。

ブラフコさんは、セシウムによる低線量の被ばくが続くこの町で、
事故後19年間暮らし続けました。

今も妻のナターシャさんが息子と暮らしています。



夫のブラフコさんからの電話です。

「もしもし」

「おれだけど」「元気?」

「私は大丈夫よ、あなたは?」




国は、この町が今も汚染されていることを認めていますが、
住民には特に説明していません。




去年5月、夫婦で撮った写真です。
この翌日、診察を受けたブラフこさんは、
そのまま入院しました。

事故から19年、突然の発病でした。



「ただ信じられないという思いでした。
先生に、白血病なんて何かの間違いじゃない? 
こんなことありえない、といいました。
先生はしばらく何も答えてくれませんでした。」

「そして、私のわからないことが起きている、
といったんです。」



ブラフコさんは病状が悪化し無菌室に隔離されました。



医師が撮影した映像です。熱は連日39度を超えていました。



これまでブラフコさんのような、
低い線量の被ばくと、癌や白血病との因果関係は、
認められてきませんでした。

しかし最近、低線量でも、長い間被爆すると、
白血病やがんを引き起こすという研究が相次いで発表されています。



その1つ、国連の国際がん機関の論文です。

長期にわたって低線量を被ばくしている、
世界15カ国60万人の原発労働者を調査したところ、
癌や白血病で亡くなった人のうち、
1%から2%が被ばくが原因だった可能性があることが
明らかにされました。


論文を発表した国際がん研究機関の
エリザベス・カーディス博士です。

たとえ、発病するリスクが小さくても、
数百万人に及ぶ次移民が
今も長期にわたって被ばくしている実態を
見過ごせないと主張しています。



「国際がん研究機関 エリザベス カーディス博士」

「チェルノブイリで被ばくした人たちは、
事故後ずっと放射線を浴び、それは今も続いています。
被ばくしている人の数も膨大です。」

「低い線量であっても、
白血病や癌を発症する危険性を無視してはいけません。」



しかし、この主張は、
去年9月のIAEAの報告書には盛り込まれませんでした。



「この程度の被ばくで白血病が増加している証拠を掴むのは」
「到底無理だ」としています。



ベラルーシでは今も多くの国民が
汚染地でとれた農作物や家畜を食べ続けています。




これまでベラルーシ政府は、
汚染された土や家屋を除去するなど、
多い時には国家予算の2割を費やして対策を行って来ました。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


先天的な子どもの数も調べました。

ベラルーシでは以前から
先天異常の研究が行われていたため、
事故前のデータがあります。

調査の結果、事故後、
先天的な病気を持つ子どもの数が
およそ2倍に増えていることがわかりました。



IAEAは事故による遺伝への影響を一貫して認めていません。


発見と報告の制度が整備されたことで、
先天的異常の子どもの登録数が増えたとしています。




二人は新たな調査を始めています。



ベラルーシ各地で生まれた、
先天的な病気を持つ137人の子どもと
その親の染色体を調べたのです。



子どもに見られる血液の細胞の染色体異常が、
親にも見つかれば、親にも先天的な病気がある。

それが受け継がれたものと考えられます。


親に染色体の異常が見られない場合は、
被ばくを含む何らかの理由によって、
親の生殖細胞の染色体に突然変異が起きたと考えられます。

その突然変異の割合を、汚染地とそれ以外の地域で比べました。



子どもの先天的な病気が、
親の生殖細胞の突然変異によっておきた割合は、
汚染の殆ど無い地域では68%。


これに対して汚染地では89%に達しました。

調べた親子の数はまだ少なく。
二人は更に調査が必要だと考えています。



「数ない線量で染色体が異常があって、
それが次の世代に伝わって、
染色体の疾患、異常じゃなくて、
異常が伝わって疾患が生じるわけで、
それは十分に考えられうることで、」

「これはもう……長期にわたって観察しないと、
結論がまだ出せない、という段階、だと思います。」



佐藤さんはラジューク博士と共に、
調査で染色体の異常が見つかった人たちと交流を続けています。


この日は首都ミンスクのアパートに暮らす、
ある一家を訪ねました。

ビクトル・マシコさんの家族です。



マシコさんの3人の子どもと甥と姪、
合わせて5人のうち4人に染色体の異常が見つかっています。


一家はチェルノブイリから60キロの
ゴメリ州ナローブリャに、5年間住んでいました。

大量のセシウムが撒き散らされた地域です。


長女のオリガさん、20歳。
生まれて6ヶ月の時事故が起き、
5歳まで汚染地で暮らしました。

このアパートに移った後
血液細胞に染色体の異常が見つかりました。


「これがオリガです。事故から5日後に撮った写真です。」


「人生の中で最悪の日ですよ。」

「この日まで事故のことは何も知りませんでした。」

「メーデーでバンザイって叫んでましたよ。」




「ビクトル マシコさん」

「私たちは5年間、汚染地帯に暮らしていました。
ですから娘たちの子ども、
更にその子どもに何かが怒るかもしれません。
何も異常がないことを祈るだけです」



血液細胞の染色体異常は
遺伝に直接つながるわけではありません。
健康にも今のところ問題はありません。
しかし幼い頃、5年間被ばくしていたという事実は
オリガさんに重くのしかかっています。


「傍目には元気に見えるかもしれませんが、
忘れることは出来ません。」


「放射能、事故、そこからは逃げられないんです」




佐藤さんの妻は、原爆の被ばく者です。
同じ不安を抱えてきた広島の被ばく者のことを話すなどして
オリガさんのことを支えています。



「佐藤幸雄さん」

「この家庭もね、特に、明るく生きていこうという
前向きの姿勢は共感ができますが、
しかしそれだけに、裏に背負ったものがあるだろうと。」



「20年はひとつの節目ですけど、
別な視点で見ますと、
今からがまた様々な問題の始まりっていいますか。
そういった子供さんが成長して
また次の世代に移っていくという意味では。
今から新しい問題が始まっていくと思います」





「IAEA(国際原子力機関)」

去年9月、IAEAが出した報告には
会議に参加した各国の専門家や公的機関から異論が相次ぎました。


批判を受けたIAEAは、先月改訂版を発表しました。
何箇所か修正が加えられています。



癌による正確な死者の数は、推定が不可能とした上で、
リクビダートルの死者を50人としていた記述を、
現在把握している人数は、50人、と改めました。


白血病については、
増加している証拠を掴むのが到底無理だという表現が削除され、
かわりに、調査を継続すべきだという一文が加えられました。


遺伝的な影響についての記述には代わりがなく、
この程度の線量では起こりえないとしています。





「ウクライナ キエフ」

リクビダートルが暮らすウクライナのアパートです。


この日も癌でなくなった住人の葬儀が行われていました。




「ベラルーシ ゴメリ」

ベラルーシ・ゴメリの被ばく者専門病院。
この3ヶ月で15人が白血病でなくなりました。





ブラフコさんの病状は更に悪化しています。
一切の面会は謝絶。

正常な白血球は殆ど失われていました。



妻のナターシャさん。
意思から助かる見込みは殆ど無いと告げられていました。





「声:ブラフコさん」

「話すこともほとんで出来ないんだ」


「のどが痛いし」


「窓も開かないのに なんでおれは かぜをひくのかな」


「でも 前を向かないと もがかないと おぼえれていまうからな」



「生きたいよ 家族のために」





人類史上最大の核汚染、
チェルノブイリ原発事故から20年。

事故の幕引きの動きがある中、
真実を突き止めようとする医師たちの治療と研究が続いています。

500万人の被ばく者に何が起きているのか。


明らかにされるのはこれからです。





「取材協力 放射線被爆者医療国際協力推進協議会」

「今中哲二」

「カタログハウス」

「ジュノーの会」

「チェルノブイリ支援運動九州」

「ディレクター 横井秀信 佐藤賢治」

「制作統括 井上恭介 石川一洋」



出典




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